2015年5月30日土曜日

[業務知識][生命保険]約款

 約款とは保険契約を締結したときに保険会社から渡される書類で、保険契約に関する事項が記載されている。保険は金融庁が保険会社に認可を与えて初めて売り出すことができるが、金融庁に許可をもらうときにも約款は必要となる。
 保険にまつわるトラブル、たとえば保険金が支払われないといった問題が起きたときに、法的な解決を図るための根拠となる資料であり、契約者と保険会社の間の保険契約全般について記載する。約款は膨大な資料で内容も難しい文言を使っていることが多く、契約者がその全文に目を通して保険契約を締結することはまずありえないが、法的なトラブルとなった場合は「読んでいなかった」ということはできない。保険契約を締結した時点で、約款に同意したものと扱われる。
 難しい文言で書かれている読み切れないくらい膨大な資料を「読んでいなかった」で済まされないというのは、一見乱暴に過ぎる公平性のない判断であるように見えるが、実際にはそうではない。前述した通り、新しい保険は保険会社が金融庁に許可を取って初めて販売できる。公的期間である金融庁が「yes」と言わない限り決して世に出すことはできない。つまり、事前に厳重なチェックがかかっているということである。高い月払保険料を取って、ほとんど保険金が支払われないような違法性が高い保険商品などを売り出そうとしても、許可が下りないのである。
 もし仮にとてつもなく契約者に不利で、お金ばかり取られてしまうような保険が本当に世の中に出てしまった場合、当然大量の保険契約者から訴訟が起こされることになる。そのような事態になり、状況がメディアを通して伝わるようなことになれば、生命保険全体の信用、金融庁の信用を大きく損ね、生命保険の契約は激減し、その後も10年単位で保険が売れない状況が続くことになるだろう。そのような事態を起こしては、生命保険業界全体が大打撃を受けてしまう。一部の悪質な保険会社が生命保険業界全体の秩序を乱さないよう、金融庁によるチェックは厳しく行われているのである。

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