2015年1月17日土曜日

[業務知識][保険]保険者と被保険者、受取人、指定代理人

 「保険者」とは保険を提供する側のことで保険会社のことを指す。「被保険者」とは保険に加入する側のことを指す。これは生命保険、損害保険の別に関わらず、保険業務全般に共通する用語である。ただし生命保険は人に対して保険をかけるが、損害保険は人以外のものに保険をかけるので注意が必要である。たとえば火災保険ならば家、自動車保険ならば車に保険がかかる。損保の場合は補償を受け取る者、という意味で被保険者となる。
 「受取人」は保険金を受け取る人を指す。生命保険の被保険者が死亡した、などの理由により保険金を受け取れる状態となったときに、受取人に指定されている人が保険金を受け取る。従来型の生命保険は被保険者が死亡した場合、残された家族が経済的に困らないように、という意味を込めて通常は配偶者や子供が受取人となっていることが多かった。
 しかし近年では医療保険などのように、被保険者本人が病気になって困ったときお金を受け取れるようにするタイプの保険も多く、その場合は被保険者と受取人が同じになる。また余命を宣告されたときに、生きているうちに保険金を受け取りたい」というニーズに対応し、生前に本人が保険金を受け取ることができる保険も増えてきた。この「生きているうちに」というのは「リビングニーズ特約」と呼ばれ、保険契約の特約として付与できることが多い。
 「指定代理人」とは、本人の代わりに保険金を受け取れる代理人のことである。たとえば医療保険やガン保険など、被保険者と受取人が同じである契約の場合、保険金を受け取れる状態になっても本人の体調が悪くて保険金の請求ができない可能性がある。そのような場合に、指定代理人が本人に代わって保険料を受け取れるようにするための仕組みである。
 かつてはガンであることを本人に知らせずに治療のための保険金を受け取るために使う、という意味もあったようだが、今では指定代理人の仕組みをこのように使うことはまずない。近年、日本はアメリカと同じように急激に訴訟社会化しており、ガンであるのに「ガンではない」と医者が言うことは、裁判で負けるという理由でありえなくなった。かつては「ガン=死」というイメージから、本人への告知はなるべく行わないことも多かったそうだが、現在は末期ガンなら「末期ガンです」と本人に隠さず告知するのが、医療の常識となっている。

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